端末の「デジタル教科書」導入、是か非か・ゆとり教育から脱却?新学習指導要領の謎、いじめ自殺問題、教育基本法改正、教員の不祥事など教育問題が注目され、教育改革が急がれる今の日本の教育ニュースを総チェック!将来の日本を背負う人間をそだてるために学校、保護者、地域、企業ができることは何か?





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〈最新教育ニュース〉端末の「デジタル教科書」導入、是か非か


 政府が平成31年末までに児童生徒に1人1台の情報端末(タブレット端末など)整備を目指す中、端末で使う「デジタル教科書」の導入を文部科学省が有識者会議で検討している。教科書の紙面データや音声、動画など関連コンテンツを端末に収め、無線LANなど情報通信ネットワークに接続できる一方、通信環境の整備や端末の費用負担など実現には課題もある。導入の是非について、放送大の中川一史教授と国立情報学研究所の新井紀子教授に意見を聞いた。
情報共有し協働する力育む 放送大教授 中川一史氏

  --デジタル教科書を導入することを、どう考えるか

 「デジタル教科書には児童生徒がタブレット端末で使う学習者用と、主に教師が電子黒板などで使う指導者用がある。導入したからといって、タブレット端末と電子黒板で授業が成立するわけではない。まず学習の目標や狙いがあり、達成するためには教師も児童生徒もタブレット端末や紙のノート・教科書を適切に選択して組み合わせる必要がある。課題はあるが、効果が期待できる部分もある。いろいろな場面で試していただきたい」

 --立体画像で図形の展開を見せたり英文を音声で読み上げるなど、動画や音声を活用した学習が可能になる

 「立体のイメージをつかめていない児童には、立体を回したり開いたりして試行錯誤しながら考えるのが適しているかもしれないが、情報を与えるばかりでは良い使い方とはいえない。キーワードは個別と協働だ。紙の教科書との大きな違いは、タブレット端末の動的ツールとしての特徴と連動させられる点。画面の一部を拡大したり、端末同士や電子黒板との間でデータを転送することができる。メモの書き込みや別の情報とのリンクなど自分で使い勝手を良くできるのも紙との違いだ」

 --効果が期待できる使い方とは

 「先行導入した小学校の授業では、児童は話し合って考えをまとめる場面でデジタル教科書にたくさん書き込んだ。授業のプロセスで画面に手軽に書いたり消したりでき、児童生徒が書き込んだ画面を教師は電子黒板などに映せる。情報を共有すべき場面を教師が的確に判断すれば、児童生徒は自分の考えの位置付けや友達との違いを確認できる。いまは問題を理解した上で知恵を出し合って解決する『協働する力』が求められる。授業をどう組み立てるか、教師の力量が問われる」

 --現行の教科書制度との整合性などに課題があるとされる

 「検定をどこまで適用するか、紙の教科書のように無償配布するかといった課題がある。情報通信ネットワークへの接続環境が十分に整備されていない学校では、授業で使うデータのダウンロードや閲覧を全員が速やかに行うのは難しい。タブレット端末を1人1台整備している自治体もまだ少ない」

 --タブレット端末を無償とするか保護者が購入するか議論がある

 「個人所有なら、個々の児童生徒が文具として利用できる。デジタル教科書のライセンス(使用許諾)のあり方がタブレット端末の個人所有に対応すれば、持ち帰って予習・復習に使える可能性がある。端末を自治体が整備するのは限界があり、購入できない家庭への支援や価格の低下が前提となるが、学習環境がどうあるべきか再考する時期に来ている」(寺田理恵)

 〈なかがわ・ひとし〉昭和34年、北海道生まれ。55歳。関西大大学院後期課程修了。博士(情報学)。横浜市立小教諭、同市教委勤務、メディア教育開発センター教授などを経て平成21年4月から現職。

新しいタイプの「公共事業」 国立情報学研究所教授 新井紀子氏

 --文科省でデジタル教科書の導入に向けた有識者会議が開かれている

 「会議の委員に企業の人やデジタル教科書の導入を研究テーマにしている人が多く、賛成・反対双方の意見がきちんと提示されていないのが問題だ。佐賀県では昨年度から実験的に、県立高校の1年生全員に5万円の自己負担でタブレット端末の購入を義務づけたが、授業中に教材をインストール(端末へ読み込み)できないなど機械の不具合が続出している。貴重な時間を空費することになった先行事例を直視する必要がある」

 --全生徒がタブレット端末を使うと、電源の問題も出てくるのでは

 「当然、学校の休み時間などに充電するための装置が必要になってくる。端末の価格は氷山の一角で、デジタル教科書の導入には莫大(ばくだい)な費用がかかる。少なくとも高校は義務教育ではないので国費は投入されず、端末は生徒の負担になってくる。ペン入力用のソフトウエアなど、子供しか使わず、大人になったら役に立たない、お金ばかりかかるものを国費をあてにして営々と作っているのが現状だ。これは新しいタイプの公共事業といえるが、全体でいくらかかるのかを誰も試算していない。それで事業費がどんどん膨らんでいくのは新国立競技場と同じで、非常に筋の悪い公共事業だ」

 --デジタル教科書はネットでつながっているのが利点とされる

 「例えば調べものをする場合、子供はどんどんリンクをたどっていくことで、もともと何を調べていたのか分からなくなってしまいかねない。これは特に学力の低い子に顕著にみられる。世界的にみても、文章にリンクを付けることで読解力が下がる、という研究結果が多く示されている」

 --一方、計算問題などのソフトは現実に効果があるとされる

 「それはそうだが、全国学力テストの結果をみても、計算や漢字書き取りの実力は基本的に問題ない。子供たちにいま求められているのは抽象的な読解力や状況を理解した問題解決などで、大学入試もセンター試験を廃止して問題解決型の試験を導入する流れになっている。その中でドリル的なソフトを導入しても、日本人の学力は落ちるだけだ。大学生がグループ討論でデジタル教材を使用した効果を調べた研究があるが、紙の資料をもとに討論したほうがパソコンを使った討論よりも充実した、とのアンケート結果が出ている。これはパソコンでの検索や閲覧に認知負荷がかかってしまい、討論が阻害されてしまうからだ。米国では有名IT企業の経営者は自分の子供にデジタル教科書を使わせていないという。日本でも教員の質の向上など、人件費をかける教育にこそ活路を見いだしていくべきだ」(溝上健良)

 〈あらい・のりこ〉昭和37年、東京都生まれ。52歳。米イリノイ大大学院博士課程修了。広島市立大助手などをへて平成18年から現職。専門は数理論理学。著書に「ほんとうにいいの?デジタル教科書」など。
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